はじめに
予定納税とは、前期の納税額に基づいて今期の税額を前もって納める方法です。
納める税金の種類、前期の納税額によって、納付する回数や納付期限、税額も異なります。
なぜこのような制度があるかというと、確定申告時に一度に大きな額を納付することが、納付者に大きな負担になることに配慮したためです。
ポイント
法人税の場合
前期の法人税納付額が20万円を超えると、今期に法人税の中間申告と納付をする必要があります。
申告期限は事業年度開始後6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内です。
3月決算の場合、11月末が申告納付期限となります。
10月末~11月初めに、税務署や都道府県、市区町村から申告書と納付書が送られてきます。
申告書を提出し、納付書により納税を済ませることで完了となります。
中間申告には仮決算を行い税額を計算する方法と予定納税という方法の2つがあります。
予定納税の計算方法
予定納税額=前期の確定申告に係る法人税÷前事業年度の月数×6
前期の法人税の年税額 | |
20万円超 | 中間申告が必要 |
20万円以下 | 中間申告は不要 |
なお申告義務があるのに、中間申告をしなかった場合には、前年度実績による額で申告があったものとみなし、納税を行う必要があります。
所得税の場合
その年の5月15日現在において確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した金額が15万円以上である場合、その年の所得税及び復興特別所得税の一部をあらかじめ納付するという制度です。
予定納税が必要な方には、税務署から6月15日までに予定納税額が記載された通知書が届きます。
前年の納税額の3分の1を第1期分として7月1日から7月31日までに、第2期分を11月1日から11月30日までに納付しておき、確定申告のときに精算するという方法です。
予定納税基準額は次のように決まります。
(1)次のいずれにも該当する人は、その人の前年分の申告納税額がそのまま予定納税基準額になります
ア 前年分の所得金額のうち、山林所得、退職所得等の分離課税の所得(分離課税の上場株式等の配当所得を除きます。)
及び譲渡所得、一時所得、雑所得、平均課税を受けた臨時所得の金額がないこと。
イ 前年分の所得税について、災害減免法の規定の適用を受けていないこと。
(2)上記(1)に該当しない方は、前年分の課税総所得金額及び分離課税の上場株式等にかかる課税配当所得の金額に係る所得税額(除外所得の金額がある場合には、除外所得の金額がなかったものとして計算した金額とします。また、災害減免法の規定の適用を受けている場合には、その適用がなかったものとして計算した金額とします。)から源泉徴収税額を控除して計算した金額及び当該金額の復興特別所得税額の合計額が予定納税基準額になります。
減額申請
その年の6月30日の時点で所得税及び復興特別所得税の見積り額が予定納税基準額よりも少なくなる方は、所轄の税務署長に「予定納税額の減額申請書」を提出して承認されれば、予定納税額は減額されます。
第1期分と第2期分の減額申請ならば7月15日までに、第2期分のみならば11月15日までが期限です。
消費税の場合
消費税の中間申告は前年度の消費税額によって回数と納付額が変動します。
直前の課税期間の確定消費税額 | 48万円以下 | 48万円超~400万円以下 | 400万円超~4,800万円以下 | 4,800万円超 |
中間申告に回数 | 原則中間申告不要 | 年1回 | 年3回 | 年11回 |
中間申告提出・納付期限 | 各中間申告の対象となる課税期間の末日の翌日から2月以内 | 図1参照 | ||
中間納付税額 | 直前の課税期間の確定消費税額の1/2 | 直前の課税期間の確定消費税額の1/4 | 直前の課税期間の確定消費税額の1/12 | |
1年の合計申告回数 | 確定申告1回 | 確定申告1回 中間申告1回 |
確定申告1回 中間申告3回 |
確定申告1回 中間申告11回 |
図1 年11回の中間申告の申告・納付期限は以下の通りになります。
個人事業者 | 法人 |
1月~3月分→5月末日 | その課税期間開始後の1月分→その課税期間開始から2月を経過した日から2月以内 |
4月~11月分→中間申告対象期間の末日の翌日から2ヶ月以内 | 上記1月分以後の10月分→中間申告対象期間の末日の翌日から2月以内 |
澁谷税理士事務所のしている事
中間納付の期間に資金繰りに困ることがないように、決算のタイミングで中間納付の税額をあらかじめ顧問先様にお伝えします。 中間申告の期間に予定納税を納付して頂くようにお願いしています。
経理ご担当の方にお願いしたいこと
申告方法によっては納税時の負担が抑えることが出来るので、経理担当の方には納付の時期や回数、範囲をしっかり理解して頂くことをお勧めします。 中間申告の納付期限を過ぎてしまうと延滞税や無申告加算税などが徴収されることがあるので注意が必要です。 予定納税額は前期の決算時に税額が把握できるので、あらかじめ余裕を持って準備をして期間内に納付していただきたいと思います。