前回、定額減税と住宅ローン控除との関係についてご説明したところ、たくさんのご質問をいただきました。
誠にありがとうございます。
さて、今回は、ご質問の多かった定額減税と住宅ローン控除と住民税の関係について、ご説明してみたいと思います。
※給与所得のみの人を例に解説致します。
※扶養者はいないものとします。
※復興特別所得税は、考慮していません。
令和5年分の所得について
令和5年分の住宅ローン控除前の所得税が9,000円だったとします。
住宅ローン控除可能額が20,000円とします。
この場合、住宅ローン控除を適用し、最終的に所得税は 0 となっています。
よって、調整給付がまずは30,000円となります。
そして、住民税ですが、所得税計算で控除されなかった住宅ローン控除額11,000円があります。この11,000円と、「前年分の所得税の課税総所得金額等の5%(97,500円を限度)」が、「住民税の住宅ローン控除の控除限度額」となります。
これを実務で色々なケースにあてはめて計算してみると、「住民税の住宅ローン控除の控除限度額」を控除したあとに、住民税がゼロになることはほとんどありません。
よって、住民税が発生するという前提で話を進めます。
例えば、
令和5年分の所得について
令和6年度分の住宅ローン控除前の住民税が2,000円とします。
「住民税の住宅ローン控除の控除限度額」が1,500円とします。
この場合、住宅ローン控除を適用し、最終的に住民税は 500円 となります。
この場合、調整給付は10,000円-500円=9,500円とはならず、一万円未満切り上げで10,000円となります。
つまり、所得税と住民税分をあわせて、調整給付は、40,000円となります。
令和6年分の所得について
次に令和6年分の所得について、
令和6年分の住宅ローン控除前の所得税を9,000円とします。
住宅ローン控除可能額が19,900円とします。
この場合、住宅ローン控除を適用し、所得税は 0 となります。
定額減税をしようにも、定額減税控除前に 0 になっていますので、控除不足額(源泉徴収票では、『控除外額』と表示)30,000円となります。
そして、住民税ですが、所得税計算で控除されなかった住宅ローン控除額10,900円があります。この10,900円と、「前年分の所得税の課税総所得金額等の5%(97,500円を限度)」が、「住民税の住宅ローン控除の控除限度額」となります。
話しを住民税に進めます。
例えば、
令和6年分の所得について
令和7年度分の住宅ローン控除前の住民税が2,000円とします。
「住民税の住宅ローン控除の控除限度額」が1,500円とします。
この場合、住宅ローン控除を適用し、最終的に住民税は 500円 となります。
結果、令和7年分の住民税では特に定額減税のことは関係なく、500円の住民税を支払うことになります。
住民税は、これにて完結します。
『控除外額』はどのようになるのでしょうか。
ここで、源泉徴収票に載っていた所得税の『控除外額』はどのようになるのでしょうか。
この点、次回のブログにて解説しております。