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ポイントと税金⑩(「基通2―1―1の7」の(4)ロの解釈)

2024.08.21

他社ポイントとの交換ができる場合

他社ポイントとの交換ができる場合の、「基通2―1―1の7」の(4)ロへのあてはめについて、ご説明します。

 

「基通2―1―1の7」

法人税基本通達2―1―1の7は以下の通りです。

(ポイント等を付与した場合の収益の計上の単位)

基通2―1―1の7
法人が資産の販売等に伴いいわゆるポイント又はクーポンその他これらに類するもの(以下2―1―1の7において「ポイント等」という。)で,将来の資産の販売等に際して,相手方からの呈示があった場合には,その呈示のあった単位数等と交換に,その将来の資産の販売等に係る資産又は役務について,値引きして,又は無償により,販売若しくは譲渡又は提供をすることとなるもの(当該法人以外の者が運営するものを除く。以下2―1―1の7及び2―1―39の3において「自己発行ポイント等」という。)を相手方に付与する場合(不特定多数の者に付与する場合に限る。)において,次に掲げる要件の全てに該当するときは,継続適用を条件として,当該自己発行ポイント等について当初の資産の販売等(以下2―1―1の7において「当初資産の販売等」という。)とは別の取引に係る収入の一部又は全部の前受けとすることができる。

(1) その付与した自己発行ポイント等が当初資産の販売等の契約を締結しなければ相手方が受け取れない重要な権利を与えるものであること。

(2) その付与した自己発行ポイント等が発行年度ごとに区分して管理されていること。

(3) 法人がその付与した自己発行ポイント等に関する権利につきその有効期限を経過したこと,規約その他の契約で定める違反事項に相手方が抵触したことその他の当該法人の責に帰さないやむを得ない事情があること以外の理由により一方的に失わせることができないことが規約その他の契約において明らかにされていること。

(4) 次のいずれかの要件を満たすこと。

イ その付与した自己発行ポイント等の呈示があった場合に値引き等をする金額(以下2―1―1の7において「ポイント等相当額」という。)が明らかにされており,かつ,将来の資産の販売等に際して,たとえ1ポイント又は1枚のクーポンの呈示があっても値引き等をすることとされていること。

(注) 一定単位数等に達しないと値引き等の対象にならないもの,割引券(将来の資産の販売等の対価の額の一定割合を割り引くことを約する証票をいう。)及びいわゆるスタンプカードのようなものは上記イの要件を満たす自己発行ポイント等には該当しない。

ロ その付与した自己発行ポイント等が当該法人以外の者が運営するポイント等又は自ら運営する他の自己発行ポイント等で,イに該当するものと所定の交換比率により交換できることとされていること。

(注) 当該自己発行ポイント等の付与について別の取引に係る収入の一部又は全部の前受けとする場合には,当初資産の販売等に際して支払を受ける対価の額を,当初資産の販売等に係る引渡し時の価額等(その販売若しくは譲渡をした資産の引渡しの時における価額又はその提供をした役務につき通常得べき対価の額に相当する金額をいう。)と,当該自己発行ポイント等に係るポイント等相当額とに合理的に割り振る。

 

「基通2―1―1の7」の(4)ロの解釈

さて、本通達を適用するための要件の一つとして、本通達の(4)が定められています。

この中で、本通達(4)のイの要件は、金品引換券に関する基本通達(基通9―7―3)で規定されている「商品等の金品引換券付販売をした場合の取扱い」との関係から要件とされています。なお、一定の単位数に達しないと値引き等の対象とならないもの、いわゆる割引券やスタンプカードのようなものは、本通達(4)のイの要件を満たす自己発行ポイント等には該当しないことが、注書で明らかにされています。

例えば、「ラーメン屋でのスタンプカードが貯まったら、ラーメン1杯無料」みたいなものは対象外ということですね。

この趣旨は、例えば、①スタンプが10個貯まらないと商品と引き換えられないスタンプカードについては、そのスタンプカードの利用者全員が所定の時期に10個のスタンプを貯める確証がないため、1個のスタンプを押した時点では重要な権利を与えたかどうかがはっきりしないこと、②次回購入した商品の対価の一定割合を値引く割引券については、次回購入する商品の対価によって値引かれる金額が変わってしまうため、割引券を発行した時点では自己発行ポイント等として計上すべき金額が明確でないこと、などから、本通達の対象外とされています。

 

また、現行の実務では、ポイント等の中に、自社の商品と引き換える際には一定の単位数に達しないと引き換えられないものの、その単位数に達しない場合でも他社の1ポイントや1円のポイントと交換できるものがあるようです。こうしたものは、他社のポイント等との交換比率によって、当初の商品の販売時において自己発行ポイント等として計上すべき金額が明らかになるため、本通達(4)のイの例外として、本通達(4)のロにおいて要件の一つとして追加されています。

 

そのため、他社のポイント等と交換する際に、自己発行ポイント等を一定単位数必要とするものは、本通達の取扱いが認められないのではないかと考える方もいるかもしれませんが、このようなケースでも他社のポイント等と交換できる点において信用力が強固であることから、他社ポイント等と交換できることが現実的であれば、重要な権利を与えたものとして、本通達の取扱いが認められるものと考えます。

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