売り手側の少額な返還インボイスの交付義務免除

問題の概要

少額な返還インボイスの交付義務免除について、解説してみたいと思います。

売掛金の入金の時になぜか、振込手数料が差し引かれていることってありますよね。

「10,000円入金されると思っていたら、220円差し引かれて、9,780円が入金される」みたいなケースです。

この場合、
仕訳で言うと、
預金   9,780円 / 売掛金 10,000円
振込手数料 220円 /
となるわけですが、

この220円の消費税区分は、どのようになるのでしょうか?

 

令和5年10月1日以降の消費税区分

この点、令和5年10月1日以降は、

買い手側(9,780円を入金してくれた人)からの、

220円に対するインボイスがない場合には、消費税区分は課税対象外となるはずです。

あるいは、売り手側(9,780円が入金された人)からの返還インボイスの交付があれば消費税区分は課税になるのですが、これでは、なかなか面倒ですよね。

 

令和5年度税制改正大綱での返還インボイスの交付義務

この点、令和4年12月23日に閣議された「令和5年度 税制改正の大綱」(以下「大綱」という。)では、

値引きや返品等の税込価額が1万円未満である場合には、返還インボイスの交付義務が免除されることとなりました。※ここ、税込みというのが渋いところです。

つまり、先ほどの例ですと、220円部分の消費税区分は課税とすることができるわけです。

この制度はいわゆる「2割特例」や「少額特例」の負担軽減措置と異なり、全ての事業者が対象であり、適用期限のない恒久的な措置として位置付けられています。

この見直しにより、売手負担の振込手数料に係る事務負担が解消されるほか、
小売店の店頭等における少額商品の返品等についても返還インボイスの対応が不要となります。

 

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→インボイスと振込手数料の消費税区分(買い手側の処理)