以前こちらの記事で、確定申告により税金が還付されるケースとして「医療費控除」という制度をご案内しました。
今回は、実際に医療費控除の対象となる医療のうち「入院」についてお話させていただきます。
目次
入院による医療費は控除の対象になるのか?
初めて医療費控除の制度を利用される方のほとんどが、偶発的な事故や病気により入院を経験したため高額の医療費を負担した、という理由によるものではないでしょうか?
そもそも入院などの高額な医療費の負担が無かった場合、1年間の医療費をいくら集めたところで金額は限られています。
たしかに入院による治療費は入院期間によっては高額な負担となりますが、「病院に支払った金額の全てが医療費控除の対象となるわけではない」ということに注意が必要です。
入院のように病院に泊まり込みで治療を受ける場合、その請求金額の内訳は多種多様となります。
請求内容の内訳により対象かどうかは異なる
主な請求内容として、「①治療費」「②部屋代」「③食事代」「④その他」といったものがあります。
請求内容ごとに対象になるかどうかは異なりますので、それぞれの事例を見ていきましょう。
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①治療費 ◯
領収書では「自己負担額」等と表記されている場合が多いですが、一般的にすべて医療費控除の対象となるものです。
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②部屋代 △
領収書によっては「室料」「室料差額」「差額ベッド代」等の表記が見られますが、医療費控除 の対象にならない場合があります。
通常の室料として入院患者全員が負担するような金額を超える部屋代のことを「室料差額」 「差額ベッド代」と呼ぶようで、それを超える金額は対象となりません。
すべての室料差額が対象とならないわけではなく、病状等により病院側の指定として個室に入院するようなケースでは部屋代は対象に含めて良いと思われます。
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③食事代 △
入院中に支給される食事に対する請求でしたら医療費控除の対象となります。
しかし、入院中の食事代がすべて医療費控除の対象となるわけではないので、支給された食事以外の食事代は対象になりません。 -
④その他 △
領収書によって記載されている内容は異なりますが、「電話料」「文書料」「○○使用料」といった ものがあります。
「電話料」「文書料」のように治療と直接関係の無いものは対象となりませんが、
「○○使用料」については治療の為に必要で病院側の指示により使用していた場合、控除に含めることができるものもあります。
入院時の医療費控除は制度を知ったうえで申告を
このように、病院に支払った金額の内容によって医療費控除の対象となる金額は制限されています。
領収証の合計金額をそのまま控除に使用していては、税務署からの問い合わせがあるかもしれませんので 注意が必要です。
さらに、入院の場合は保険金の支給を受けている可能性が考えられます。
医療費控除の対象となる金額は 正しく集計できても、保険金などの支給額を差し引いていなければ、 控除額が誤って多く計算されてしまいます。
いくら高額な負担があったとしても、保険金を受け取っている場合その負担は少なくなっているはずです。
制度を正しく知ったうえで間違いのない申告ができるよう気を付けましょう。
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