教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置が本年4月1日からスタートします。
もともと、「扶養義務者相互間の贈与は非課税」となっていることもあって、
効果は限定的ではないかと思います。
しかし、相続対策をお考えのかたにとっては、
検討してみる価値がありそうです。

(1)制度の概要
直系尊属から30歳未満の孫等へ教育資金を贈与する場合に1500万円まで非課税とするものです。

(2)詳細

詳細については未確定な部分も多いのですが、現在公表されている範囲内で解説致します。
① 贈与者(教育資金を渡す人)
直系尊属。祖父母だけでなく曽祖父母や両親も対象になります。
② 受贈者(教育資金をもらう人)
30歳未満の直系卑属。子、孫、ひ孫等が対象になります。
③ 対象資金の範囲
(ア)学校等に支払われる入学金その他の金銭
(イ)学校等以外の者に支払われる金銭のうち一定のもの
(この範囲は学習塾や予備校、スイミングスクール、
英会話教室、音楽教室、書道教室等が
対象になるのではないかと考えられますが、
詳細は明らかになっていません。)。
④ 対象金額
1500万円(但し、③(イ)は500万円が限度)
⑤ 申告義務
受贈者は、教育資金非課税申告書(仮称)を金融機関を経由し、
受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
⑥ 払出しの確認等
受贈者は、払い出した金銭を教育資金の支払に充当したことを証する書類を
金融機関に提出しなければなりません。
金融機関は、教育資金に充当されたことを確認し、
その確認した金額を記録するとともに、
当該書類及び記録を受贈者が30歳に達した日の
翌年3月15日後6年を経過する日まで保存しなければなりません。
⑦終了時
(ア)受贈者が30歳に達した場合
金融機関は、本特例の適用を受けて信託等がされた金銭等の合計金額
(以下「非課税拠出額」という。)
及び契約期間中に教育資金として払い出した金額の合計金額
その他の事項を記載した調書を
受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額については、
受贈者が30歳に達した日に贈与があったものとして贈与税を課税されます。
(イ)受贈者が死亡した場合
金融機関は、受贈者の死亡を把握した場合には、
その旨を記載した調書を受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額については、
贈与税はかかりません。