【2012年10月20日】
移転価格税制における国外関連者間の相殺に対する考え方についてご説明します。

国外関連者との取引において、
お互いに相殺している取引がある場合においても、
その取引を分解し、
それぞれの独立企業間価格を算定し、
その相殺が適正か否か検証する必要があります。

例えば
A社が特許の使用権限をB社に提供し、
B社がノウハウをA社に提供した場合、
お互いに持ちつ持たれつということで何もなかったことにしましょう。
というのは通りません。
A社が提供した特許の使用権限と、
B社が提供したノウハウの独立企業間価格を算定し、
そのうえでこの相殺が金額的に一致しているのかの検証が必要になります。

この点につき
OECD移転価格ガイドライン3.13[意図的相殺]では、
以下のように記述されています。
「3.13 意図的相殺とは、関連者が意図的に関連者間取引の条件に組み込む相殺のことである。
これは、ある関連者が、グループ内の他の関連者に対し、
当該関連者から見返りとして受ける他の便益とある程度見合った便益を提供することで発生する。
これらの企業は、それぞれが受け取った便益が、
それら便益に対する支払いの全部又は一部として提供した便益と相殺されるべきであり、
租税債務を評価する際には
これらの取引の純利益又は純損失(それが存在する場合)のみが考慮されるべきであると主張するかもしれない。
例えば、ある企業が、別の企業から別の関連で提供されたノウハウの見返りに、
当該企業に対し特許の使用許諾をし、
これらの取引の結果としていずれの当事者にも利益も損失も生じていないと主張することがあるかもしれない。
このような取極(とりきめ)は、独立企業間でも行われることがあるが、
相殺が主張されている各便益の価値を定量化するに当たっては、
これらの取極を独立企業原則に従って評価すべきである。」