【2012年9月30日】
≪質問≫
岡山太郎氏は、
オカヤマ建設という屋号で個人事業を行ってきましたが、
このたび会社設立をすることになりました。会社名は岡山建設㈱です。
従業員は法律上、オカヤマ建設を退職し、岡山建設㈱に入社したことになります。
ところが従業員にとってみますと実質的な退職とはいえませんので、
退職金は支給せず、将来、岡山建設㈱を退職したときに
オカヤマ建設に勤務していた期間も合わせて退職金を支給しようと思っています。
オカヤマ建設では退職金規定を設けておりましたので、
オカヤマ建設退職時に従業員には退職金の支払いはありませんが、
退職金債務相当額を岡山建設㈱設立時に
岡山太郎氏の事業所得の計算上、必要経費の額に算入できますか?
≪解答≫
実際に退職金を支給するまでは必要経費の額に算入することはできません。
≪解説≫
退職金を未払金として経理する場合でも、
それが確定債務であれば必要経費に算入することができます。
しかし、いわゆる法人なりの場合には、
① 退職金の打ち切り支給の場合には、
実際に退職金を支給しなければ認められないこと。
② 将来法人から退職金を支給する場合、
個人事業時代の期間を含めても、
その全額が法人の損金と認められること。
また、それが認められなくとも、所得税の更正の請求ができること。
③ 個人事業廃業後、長期間未払金勘定のまま残るのは不明確になりやすいこと。
等の理由から、
ご質問の場合、オカヤマ建設から岡山建設㈱移行時においては、
従業員の退職金債務相当額を
岡山太郎氏の事業所得の計算上、必要経費の額に算入することはできません。