【2012年8月27日】
現在、世界的に法人税率の値下げ合戦が行われています。
また、外国企業の誘致を積極的に行うため、
開発途上国等においては税制優遇措置を設けて租税の減免を行っている国もあります。
ここで重要となるのがみなし税額控除(タックス・スペアリング・クレジット)です。
この制度は、
外国で軽減された税金を負担したものとみなして
外国税額控除を適用する制度です。
例えば、
日本国での所得を200(税率40%)、
外国での所得が100(税率30%だが税制優遇により減免)とします。
≪みなし税額控除の制度を適用しなかった場合≫
①日本での法人税
(200+100)×40%=120
②外国税額控除の計算
120-0=120
となり、
120の法人税を日本で納めることになります。
≪みなし税額控除の制度を適用した場合≫
①日本での法人税
(200+100)×40%=120
②外国税額控除の計算
120-30=90
よって、
90の法人税を日本で納めればいいことになります。
この制度を適用しなければ
開発途上国等が行った外国企業の誘致を受けるための税制優遇措置の政策目的が
全く生かされないことになってしまうことがお分かりかと思います。
ただし、財務省は課税の公平性や中立性の観点から
そもそもこの制度を問題視するようになり、
日本国では徐々に廃止又は縮小するように租税条約交渉に臨んでいます。
2006年にはインドで改正合意がなされ、
2008年のパキスタンなどで廃止されることになりました。