【2012年8月6日】
今日は、ホテルグランヴィア岡山で中国税理士会の研修会に行ってきました。
講師は青山学院大学教授の三木義一先生。
「日本税制総点検・・・税理士の常識は正しいのか」と題し
岡山の税理士を対象にご講演下さいました。

まずは、申告納税方式と賦課課税方式とは何が違うのかということについて、
固定資産税を題材に事例発表されました。

住宅用地は固定資産税の減額特例がありますが、
その土地が住宅用地であるという申告は納税者がしなければなりません。

事例では、
10年間も特例が適用されていない住宅用地について、
区役所から
「条例では住宅を建てたときに納税者が申告することになっているのに、申告しなかったからだ」
と言われたケースを題材に解説がありました。
裁判所は、
「固定資産税は申告納税方式ではなく賦課課税方式を採用していることからすると、
たとえ条例により土地所有者に住宅用地の特例の前提条件につき申告義務を課したとしても、
それはあくまでも補完的なものであり、
基本的には自ら課税要件を認定して課税すべきであるから、
土地所有者の不申告を理由に、固定資産税担当職員の過失を否定することはできないし、
本件の場合、現に、法の規定する実地調査等の手段によれば、
適正な課税が可能であると解されるのであるからなおさらである」とし、
過去に過大に納付した固定資産税等の損害を認めました。
ただし、納税者にも過失が認められるため、過失相殺として3割を控除しました。
(大阪高裁平成18年3月24日判決)

申告納税方式ではありえない判決であり、根底に流れる原則の違いを再確認致しました。