【2012年6月24日】

「棚卸には税金がかかるから、年度末には減らしておいた方がいい」
こんな噂を聞いたことはありませんか?

棚卸には税金はかかりません。
ただ、仕入商品や原材料についての経費は、

期首棚卸高 + 当期仕入高 ― 期末棚卸高

で計算します。

例えば、10個仕入れて、そのうち8個が売れ、2個が売れ残ってしまった場合、
経費にできるのは8個分だけです。
売れ残った2個は棚卸となり、経費になりません。

また、資金繰りの面から見ますと、
10個を100円で仕入(1,000円の支出)、
そのうち8個を120円で売った場合(960円の収入)、
お金は40円減っています。

(収入 960円)―(支出 1,000円)=(収支 △40円)

それなのに、経費にできるのは、

(当期仕入高 1,000円)―(期末棚卸高 200円)=(経費 800円)

ですから、

(売上 960円)―(経費 800円)=(利益 160円)

となってしまします。

このお金は減るのに利益は出るという仕組みが、
感覚として「棚卸には税金がかかる」となります。

棚卸資産を多く抱える業種では、
資金繰りを十分に考慮しながら事業展開をしなければなりません。
特に卸売業や小売業は、
こういった利益と資金繰りの違いが大きくなりがちですから注意が必要です。